HAT神戸にある『人と防災未来センター』は、「阪神・淡路大震災」について学び、防災・減災の知識が正しく身につく施設だった

忘れてはいけない震災の恐ろしさ、そして助け合いの素晴らしさをリアルに展示

3階は震災の体験フロアになっていて、震災関係の資料が提供者の体験談と共に展示されています。当時の様子が身近なものとして感じられますし、忘れかけていたもの思い出させてくれます。

30年間、西宮市のお宅の応接室で家族を見守ってきた置き時計。地震の際転倒し、5時46分を指したまま動かなくなりました。辛い記憶になりますが、忘れてはいけない時刻です。

おしゃれなバイクがあるなと思ったら、イタリアから兵庫県に贈られたものとのこと。瓦礫の山で車は使えないため、警察の仮設住宅の訪問や安否確認に役立ったといいます。

そんなできごとがあったことすら知りませんでしたが、国を超えた助け合いの素晴らしさを今さらながらに感じました。イタリアの皆さんに感謝ですね。

そこに写っていたのは、女性が家屋の下に埋まっていることを伝える生々しいメモでした。

阪神・淡路大震で亡くなった人の多くは家屋や建物の倒壊によるもので、地震直後の15分以内に約92%の人が圧死や窒息死などにより亡くなっています。

これらは近い将来起こると予測されている首都直下型地震の教訓になる貴重な資料だといえます。

こちらのコーナーでは、地震直後や復興過程の生活・まちの姿を貴重な写真や当時の映像、精細な模型で解説しています。

地震発生から復興までをいろんな角度から学ぶことができます。本気でじっくり観てまわると1日では時間が足りないかもしれません。

3階で展示物の解説、館内ガイドなどのボランティア活動をされている谷川三郎さん。ボランティア歴は25年(震災直後から!)。当時は芦屋市に勤務されていたということで、行政の観点からの話が聞きたいと全国各地からも依頼が来るんだとか。

ちなみにボランティアさんの目印は水色のベスト。声をかけると丁寧に解説してくださいます。自由に閲覧するのもいいですが、解説いただくと理解度がとてもアップします。

ボランティアの方が自らの体験談を語ってくれる語り部コーナーはこちら。ビデオは震災した体験者のインタビューで、現役で働いているため語り部として実際に話をする機会がない若者の体験談を聞くことができます。

壁面に展示されている資料の詳細情報を知りたい場合は、こちらで閲覧可能。心を打たれたメッセージなどがあれば、それを印刷して持ち帰ることもできます。

近年地震が多く発生していることから、フィリピン、ベトナム、インドネシアなど東南アジアからの来館者が増加しているそうです。観光を兼ねて防災・減災の実現のための必要な情報を学びに来られているということで、その意識に頭が下がります。

2016年には当時の駐日米国大使 キャロライン・ケネディさんも来館されています。

 

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