『神戸マニア』では、「これ知っとった?」と言いたくなるような、地元を再発見できる神戸のマメ知識を発信!「神戸の街歩きのネタ」や「市外から来たお友達へのうんちく」に役立つ情報をお届けします。
JR垂水駅を利用したことがある人は、こちらのお地蔵さんにも見覚えがあるのではないでしょうか?
神戸生まれ・神戸育ちの人に聞いてみると「物心ついた頃にはこの場所にあった気がする…」とのことで、少なくとも20年前からJR垂水駅に存在してるみたいです。
石像の周りを確認しても、詳細が書かれた案内板などは特に設置されてない様子。
お地蔵さんの正体を探るため、いつからここにあるの?誰が、何のために置いたの?など気になる疑問を調査してみました!
お地蔵さんがあるのは、JR垂水駅の西口改札を入ってすぐ目の前。赤い頭巾と前掛けを身に着けた、子どもの石像が置かれてます。
改札内に入って、石像を後ろから見るとこんな感じ。利用客の多いJR垂水駅で、石像が通路の幅を狭めてしまってるようにも見えます。
相当昔から置かれている印象ですが…一体なぜこの場所にあるんでしょうか。
JR西日本に尋ねてみましたが「詳しい経緯は分からない」とのこと。土台の左下に文字がある松下石材さんに問い合わせてみたところ、社長の中川さんが直々に対応してくれました。
画像:公式サイトより
中川さんいわく、JR垂水駅に石像が置かれたのは昭和45~50年頃。松下石材の初代社長が石像を寄贈したんだそう。
かなり昔の話なので詳細な理由は中川さんにも分からないそうですが、当時の駅長から「お客様が低い天井に頭をぶつけると危ないので、そのすぐ下を歩けないようにしたい」という相談を受けたのがきっかけになったみたいです。
石像のすぐ上を見ると、たしかにこの部分だけ天井が低くなってます。
頭上注意という注意書きのある部分ですら高さ172cmなので、石像の頭上になるとさらに低く、子どもや女性でも頭をぶつけてしまう人が多いんじゃないでしょうか。
しかし足元に石像が置いてあれば道がふさがれるので、天井に頭をぶつける心配はなくなります。
昭和45~50年頃に行われた安全のための工夫が、現在まで引き継がれてるんですね。
さらに中川さんは、石像がお地蔵さんではなくて一休さんだということも教えてくれました。
たしかにお地蔵さんしては珍しく、手にはほうきを持っていて、短い袴を履いてるようです。
なぜ一休さんなのか理由を尋ねてみると「当時は一休さんのアニメが放送され始めた頃で、人気があったから」とのこと。
今では石像の正体が一休さんだと知ってる人は少ないかもしれませんが、当時の人々にとっては、みんなが知ってる親しみのある存在だったようです。
他にも気になるのは、一休さんの帽子と前掛けがいつ見ても綺麗に保たれていること。実は、中川さんが定期的な交換をしているそうなんです。
以前はお針子さんに頼んで新しいものを作ってもらっていましたが、最近は仏具店で既製品を購入することも。
「私が気付いていないだけで、もしかしたら駅のお客さんのなかにも、帽子や前掛けを定期的に洗ってくれてる人がいるのかもしれません」とおっしゃってました。
ちなみに一休さんは最近になって、冬仕様に衣替えしました。鮮やかな赤色の毛糸で作られてるように見えますが、手編みでしょうか。以前に比べて暖かそうです。
一休さんの足元によく置かれているお賽銭についても中川さんに聞いてみたところ「本来ならばお供え物をしてもらうような場所ではないけれど、あえて禁止する必要もないと思っています」とのこと。
お賽銭を供えることが誰かの心の拠り所になっているならそれで良い、と考えているそう。ちなみにお賽銭はJR垂水駅が管理してるみたいです。
中川さんの言葉で印象的だったのは「お地蔵さんを見て“誰かがこの場所で亡くなったのでは?”と言われることもありますが、そういったわけではなく、駅を安全に利用してほしいという前向きな気持ちから生まれた一休さんなんです」というもの。
JR垂水駅の景観のひとつとして当たり前の存在となっていた一休さんは、半世紀近くにもわたって、乗客の安全を見守り続けてくれていました。
そして「当たり前」だと思っていた存在が、実は、こんなにも温かい松下石材さんの想いがあってこそ成り立っていたことを知ることができました。
◆関連リンク
・垂水駅 – JRおでかけネット
・有限会社 松下石材 – 公式サイト
お地蔵さんの被っている帽子は私の母が生前縫ったものです。母は10年前に他界しましたが、今でも家にはお着換え用の前掛けもあります。かなり汚れていますが。。。母が縫ったものとは違うデザインのお写真もあるので他の方も縫って下さっていたのですね。いつも垂水駅を利用する際に何故ここにお地蔵さんがあるのか不思議でしたが、謎が解けました。ありがとうございました。
よく見かけますが 名前の由来を垂水に住んでいて初めて聞きました‼️
垂水駅良く利用します。私も てっきり垂水駅建設の際に 亡くなられた方が居たのでは と思っていましたが、そうじゃ無くて良かったです。ほっこりする話で良かったです。
実家が、垂水です。54歳ですが、子供のころから、20代前半まで、よく垂水駅利用してましたが、こんな、お地蔵さんあった記憶がないぞ?
垂水駅以前通っていましたが、気づきませんでした!!
見に行きたくなりました、近々行こうかな
何気に存在のある石像だなと思っていましたが、気に留めることもなかったです。今回エピソードがわかり、親しみ感が湧きました。以前、年配の女性たちが、頭を撫でておられるのを見ました。
垂水小学校近くにある池姫?お地蔵さんの由来も知りたいです。
昔あの一帯は池だったようなので、水の事故で子供達が亡くなった為、慰霊のにお地蔵様が居られるのだと思っています。
町名が水に因んだ名称が多いのも池の跡だからかな、と思います。
存在は昔から知っていましたが、理由は全然知らなかったです。興味深いお話で楽しく読ませてもらいました。