『神戸ゆかりの美術館』で“まぼろし”展示を満喫。名前通り、そこは神戸にゆかりを感じる場所だった

3度目の正直? 1973年には神戸市文化ホールが開館

次のタペストリーに描かれているのは『神戸市文化ホール』。公会堂はまぼろしに終わりましたが、大倉山公園内にあるこちらの建物は、1973年10月1日に開館しました。

大正、昭和、現在とコーナーごとのタペストリーを見るだけでも時代の大きな変化が感じられますね。

これらは『神戸ゆかりの美術館』開館まで、『神戸文化ホール』の大・中ホールのホワイエや食堂近くの階段踊り場に飾られていた絵画たち。いずれも「市の施設に飾られている美術品を見てもらう」方針でこちらに管理換えされたそうです。

『神戸市文化ホール』は老朽化が進み、大ホールはバスターミナルI期ビルへ、中ホールは市庁舎2号館跡へ移転が決まっています。それもあって、『神戸市文化ホール』を知る人はこれらの絵画を見て懐かしまれているとか。

神戸ゆかりの文化人が通った老舗バー『アカデミーバー』。その漆喰壁に16人の画家・詩人が描いた絵も所蔵されています。

それぞれの絵は、戦争でちりぢりになって戻ってきた画家らが仲間への伝言板のように描いていったもので、小磯良平や小松益喜、田村孝之介、詩人の竹中郁らによって手掛けられました。

右上部分には小磯良平氏の壁画が。薄いピンクで描かれていてよく見ないと何か分かりませんでしたが、人の横顔のようで、イニシャルもちゃんと入っています。

壁画は修復したり移設したりと人の手が入ってはいるものの、歴史を感じさせるオーラのようなものがビシビシと伝わってきました。

『神戸ゆかりの美術館』入口の右手は多目的室になっていて、ここでは「子供のための美術講座」として展覧会の企画内容に合わせた絵画や工作の講座を行っています。

また、絵画展の作家の講演会や、展覧会の関連グッズ、限定コラボグッズを販売するショップにもなります。

過去の展覧会関連図書も自由に閲覧できます。2016年には幼少期を明石で過ごした漫画家・松本零士氏と、神戸市出身の少女漫画家・牧美也子氏の直筆の原画やセル画が展示された夫婦コラボ展も開催されました。

「神戸ゆかりの」と聞くとレンジが狭そうな気もしますが、この資料を見ると実はとても広いことがわかります。

 

 

美術館や博物館の情報もたくさん置かれていて、最新の情報がゲットできます。

受付ではルーペも貸し出してくれます。数時間で何人かの方が借りたり返したりしているのを目撃しましたので、結構重宝されてるんじゃないでしょうか。

コインロッカーも完備されているので、ショッピングついでに立ち寄っても安心です。使用料の100円が返却されるのも良心的。

貸出用ベビーカーや車椅子も用意されてました。もちろん、車椅子対応トイレも設置されています。

神戸が生んだ木版画家・川西英氏をはじめ、いろんな画家の作品を使ったオリジナルポストカードも販売されています。お土産代わりに購入するのもいいんじゃないでしょうか。

今回は駅から『神戸ファッションプラザ』を経由して入館しましたが、外から入る場合は、正面扉の右横にこんな感じの大きな看板があるのでわかりやすいと思います。

展示内容が設計図の展示ということで、最初はとっつきにくい印象でしたが、展示物の配置の方法や順番など「できるだけ分かりやすく、親しみやすく」という学芸員の方々の工夫と苦労が感じられ、アートの街・神戸への愛着がさらに高まる場所だと思いました。

六甲アイランド3美術館をまとめて巡るのも良いですが、じっくり時間をかけて鑑賞するのもおすすめです。平日は空いていることが少なくないので、ソファや椅子にゆっくり座ってアートの世界に浸るのもいいんじゃないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の影響や展示替えのため2020年4月10日まで臨時休館中ですが、春以降の展示も楽しみです。

スポット名神戸ゆかりの美術館
ジャンル美術館
料金展示内容ごとに異なるのでホームページにて確認
住所神戸市東灘区向洋町中2-9-1
電話番号078-858-1520
営業時間10:0017:00(最終入館16:30
定休日月曜(祝休日の場合は開館、翌日休館)年末年始(1229日~13日)
リンク公式サイト
駐車場なし

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神戸ジャーナル 編集部

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