兵庫県の斎藤元彦知事は、県内の中小企業に就職した大卒の人を対象にした『奨学金返済支援制度』を、2024年度から拡充することを発表しました。
企業と県で費用を分担して「奨学金返済」を支援
兵庫県では、中小企業の人材確保や若者の県内就職・定着を目的に、若手社員の奨学金返済を支援する「中小企業」や、そうした企業に勤める「従業員」を対象にした支援を行っています。
手当などで奨学金返済を支援したり、従業員に代わって奨学金を代理返還したりといった取り組みを行う「企業」と「県」が費用を分担して、返済支援をする仕組みなんだそう。
幅広い奨学金返済支援策として、全国トップクラスの手厚い内容なんだとか。
補助の条件は、「県内にある中小企業」、または京都府の奨学金返済支援事業の対象となっている企業の「県内事業所」で、従業員に対して奨学金返済負担軽減制度を設けていること。
従業員についても条件があり、現行は「日本学生支援機構の奨学金を受給していて返済義務がある」「申請時点で県内事業所に勤務している正社員」「30歳未満」のすべてを満たす必要があります。
今回発表された拡充では、対象年齢を「30歳未満」から「40歳未満」に引き上げるほか、補助期間も「最大5年間で90万円」から「最大17年間で306万円」に拡大します。
40歳未満に引き上げることで、転職する人やUJIターン人材の確保を見込んでいるみたい。
県の発表によると、奨学金の平均借入額は「310万円」で、毎月の返済額は平均15,000円、返済期間も「平均14.5年」と重い負担になっています。
今回の拡充で、最大17年で約300万円の支援対象になれば、実質的に本人負担がゼロになるようなイメージですね。
若者に選ばれる職場づくりに取り組む企業を対象にした拡充で、補助期間は「ひょうご産業SDGs推進宣言企業」などに認定されていることを条件に、現行の5年から「10年」または「17年」に延長するそうです。
補助期間の延長にこうした条件を設けることで、ワーク・ライフ・バランスやSDGsに取り組み、女性や若者が活躍しやすい「企業」も増やしていこうという考えみたい。
中小企業の「人手不足」は深刻な問題
制度拡充の背景には、社会経済情勢として、国内の生産活動を中心になって支える「生産年齢人口」が減少していることに加えて、新型コロナウイルス後の人流回復などで、製造や観光の現場で「人手不足」が深刻化している問題もあります。
それを踏まえて兵庫県はさまざまな取り組みを進めており、「奨学金返済支援制度の拡充」は働きやすい職場づくりの柱の施策として考えてるそうです。
昨年12月に開催された人手不足問題対策会議では、奨学金返済について「金額も大きく返済期間も長くなっているため拡充してほしい」との声が挙がったのだとか。
また先日発表された兵庫県立2大学の無償化に関連して「県内就職率を上げる取り組みも考えてほしい」といった意見も。
今年1月に行われた別の会議でも、県内企業の人手不足は「7割」を超えており、人手不足のために事業展開ができず、利益が減少する状況にあるといった意見が出たそうです。
兵庫県など関係機関の協力・支援とともに、働きやすい職場づくり、若者にとって魅力ある「労働環境の整備」が課題としています。
実際に県の支援を受けている企業の社員によると、「返済支援制度があることは企業を選ぶうえでの判断材料だった」「Uターン就職のきっかけになった」といいます。企業側も優秀な人材を確保できる取り組みとして、企業・社員ともに恩恵を感じているようです。
ただし「人手不足」は中小企業に限らない問題で、支援対象の拡大を望む声も挙がっているみたいです。
◆関連リンク
・兵庫型奨学金返済支援制度の拡充 – 兵庫県
新卒です。奨学金=借金。1日でも早く繰り上げ返済したいと思っているのですが、入社した会社が途中でこの制度に加入した場合、40歳以下なら自分も対象になりますよね。今後ももしかしたら色んな制度が出てくるかも知れないと考えたら、返済が馬鹿らしくなってしまいます。従兄弟でも必死で完済した人もいます。子育て支援の一貫と思うのですが、今更手遅れ。不公平感が満載です。
40歳以上でも生活きつい。はっきりいって不公平。40超えて子供のことで金がかかる時期に返済支援なくなったら奨学金分負担が大きくなって地獄。
家計をやり繰りして、子供に奨学金制度を利用せずに、支払ったきた親は損ですね。