国の研究機関が、2050年までの『日本の地域別将来推計人口』を発表しました。2050年の兵庫県の総人口は、2020年比で約2割減少すると推測されています。
厚生労働省の研究機関「国立社会保障・人口問題研究所」が発表した「日本の地域別将来推計人口」は、将来の人口を都道府県別・市町区村別に推計したものです。
2020年の国勢調査をもとに、2050年までの5年ごと、30年間について、男女・5歳階級別に発表。推計対象は、2023年12月1日時点の全国1,883市区町村と、福島県・浜通り地域の合計1,884地域です。
「65歳以上」の割合、25道県で40%超に
画像:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」より
2020年と比較した「都道府県別の総人口」では、東京都を除くすべての道府県で減少傾向になり、2040年以降はすべての都道府県で減少に。うち11県では、2020年比で「30%以上」減少するそうです。
2050年の推計では、全国の「65歳以上」の割合は37.1%。都道府県別では、25道県で40%を超えるほか、秋田県では49.9%と半数近くになるという推測みたい。
画像:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」より
「0~14歳」の子どもも、2020年から2050年にかけて、47都道府県すべてで減少傾向に。
各都道府県の総人口に対する割合も、2020年~35年にかけて全都道府県で低下するものの、2035年からは35都道府県で増加に転じ、2040~45年は27道県、2045~50年には5県で微増するという推測です。
兵庫県全体で約110万人減、子どもも年々減少
画像:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」をもとに作成
こちらは兵庫県のみを対象に、将来の推計人口を表にまとめたものです。5年ごとの区切りで、前回よりも増加している場合は「青色」、減少している場合は「赤色」にしています。
県の総人口は、2020年の「約546万人」から減少の一途で、2035年に「500万人」を割り、2050年には「約435万人」と、2020年比で約110万人減る計算に。
「0~4歳」「5~9歳」の子どもも年々減っていき、2020年比でそれぞれ約3割超の減少となっています。
神戸市は「中央区」のみ微増、「西区」の高齢化が顕著
画像:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」をもとに作成
神戸市のみで見ても、兵庫県全体と同様の傾向です。
「0~29歳」は2020年比で約3割超の減少、「45~49歳」は約4割減と最も減少幅が大きい推計となりました。
2020年比だと「75~94歳」は1.2倍~1.7倍ほどに。95歳以上は3.8倍になる計算です。
特に「西区」では95歳以上の割合が、2020年比で「5.4倍」と大幅に増加するみたい。
神戸市の区別でみると、2020年比の総人口は「灘区」が1割未満の微減で、「東灘区」「兵庫区」が約1割減、「長田区」「須磨区」「垂水区」が約2~3割減、「北区」「西区」が3割近くの減少となっています。
増加は「中央区」のみで、2020年の「14.7万人」から2050年の「15.1万人」と、約2.6%の微増になるそうです。
画像:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」をもとに作成
県内41市町と神戸市各区別の増減をまとめてみました。40%以上減少する市町を赤色にしています。
「洲本市」「養父市」など10市町で4割以上減少するほか、「新温泉町」や「香美町」では半減以下になる推測です。
県と神戸市、若い世代向け施策で人口流出抑制へ
齋藤元彦 兵庫県知事は、将来推計人口の発表を受けて、記者会見で「(県全体で)減少しているなかでも、都市部は比較的抑えられているが、多自然地域は非常に減少率が高い。日本全体の問題でもあり、人口減少社会を一つの前提として、どのように地域社会をつくるかを考えることが大事だ」とコメントしています。
併せて、将来を担う若い人材の育成に力を入れていくと話しました。
人口減少社会の中でも兵庫の将来を担うのは、やはり若い力、人材になります。政府も少子化対策をやっていますが、成熟した日本社会の中で急に1人当たり3人、4人に増えていくのはなかなか難しい面もあります。
だからこそ、子ども一人一人の個の力を高めていく意味で、若者・Z世代などが兵庫で生き生きと勉強やスポーツなどを楽しみ、自分の力を伸ばせる環境を作ることが大事だと思っています。
そのような意味でも、県立高校の環境整備、県立大学の授業料無償化や奨学金の返済支援、グローバル人材の育成をしっかりやっていく。人材を育成していくことで、少子化の時代でも、より大きな成長や付加価値、地域の担い手となるような人材を育んでいくことが大事だと思っています。
兵庫県は、県立2大学の無償化施策などを発表し、先日行われた県立大の一般入試では、志願者が過去5年で最多になっていました。ほかにも若者を対象にした支援を拡充する方針を発表しています。
神戸市でも高校生の「通学定期代」の無償化、中小企業の「住宅手当」への補助金上乗せなど、若年層の市外流出を抑える施策を打ち出しています。
県が行った調査では、「転居先」を選ぶ主なポイントは、住宅の安さや通勤の便利さなどが挙げられたんだそう。
今住んでいるところに住みやすい制度があれば、住み続ける人も増えるでしょうから、県や神戸市などの施策によって、今回発表された推計ほどの人口減は防げるのかもしれません。
◆関連リンク
・日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計) – 公式サイト
五国、と言っておいて神戸・阪神???
そこは摂津じゃないんかい。
若い人の投票換算係数を上乗せしてあげたいです。