明石海峡を望む高台からの眺めは王様気分。非日常が味わえる『五色塚古墳』に行ってみた

223万個もの石を使った葺石式古墳

古墳に上がるには管理事務所横の階段を利用します。階段には柵がしてあって、そこから先は立ち入り禁止です。このあたりの施設っぽさは、ガチのマニアにはやや物足りないかもしれません。

とはいえ、古墳自体は築造当時の姿にかなり忠実に復元されていますし、階段がイメージを大きく損ねている感じもありません。見学できる史跡として利用しやすいので、これはこれでいいのではないでしょうか。

1段目の階段を上ったところから北を見上げると、たくさんの石が整然と積み上げられていて迫力があります。これらの石は葺石(ふきいし)といって、古墳が作られた当時は223万個も使われていたそうです。

葺石は古墳の上段、中段、下段でそれぞれ違う大きさのものが使われています。下段には直径5〜10cmの石が使われていましたが、復元工事の際にその上から盛土をして芝が張られました。

また、上段と中段に使われている葺石は淡路島産で、これらを五色浜(洲本市)から運んだことから五色塚古墳という名前になったという説もあります。

2段目の階段を上った、上段と中段の境目あたりから南を見るとこんな感じ。海に向かって真っ直ぐのびる前方部がよくわかります。

トラックもパソコンもドローンもない時代にどうやってこんなもの作ったのか不思議で仕方ありません。いやあれだな。権力だな。

後円部のなだらかな曲線。いい仕事してます。1500年以上も前に設計とか施工管理とか誰がしてたんでしょうか。

3段目の階段を上がりきったところ。埴輪がずらっと並ぶ光景に非日常を感じます。斜面になっている石が葺かれた部分は、復元の際に水はけを良くするための工夫も施されているそうです。

前方部の広場に出ると、贅沢な空間が広がっていました。あるのは周囲を囲む埴輪だけ。その向こうには絶景が広がっていて、また一段と非日常的な感じがします。

このスペースの長さは71.5mで、横幅は9.0mから18.0mと海の方へ向かうにつれて広がっています。ミニサッカーとかできそうですが、もちろん禁止。

前方部の一番奥まで行くと明石海峡大橋が大きく見えて、目の前には山陽電鉄の線路がありました。ちょうど電車が通過したのですが、結構キワキワ。

それにしても、なんでこんな線路の近くや住宅街の真ん中に古墳があるのかと思いましたが、よく考えたら民家と線路の方が明らかに後。やはり畑扱いされていた時代のせいでしょうか。

ただ、この辺りの海岸沿いには埋立地が多いので、古墳が作られた当時は海がもっと近くにあったはずですし、眺めもずっと良かったのかもしれません。

 

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