コロナ禍、離れて暮らす両親が認知症に!?『親子のコミュニケーション不足』がもたらす影響とは

コロナ禍で認知症患者さんの病状が急激に進行しているように感じます。」

そう教えてくれたのは、おなじみとなったしおかぜメモリークリニックの院長 南 辰也(みなみ たつや)先生

大切な家族と向き合う「認知症」の専門外来『しおかぜメモリークリニック』訪問診療に対応する伴走型のクリニック

2020年9月4日

JR神戸駅北側すぐのところにある認知症を専門としたクリニックです。

認知症医療専門/夜間診療対応
しおかぜメモリークリニック

認知症の進行を少しでもゆるやかにするために、投薬治療だけでなく、日常生活での様々な工夫が必要ということをこれまでご紹介してきました。

その中で効果的とされるコミュニケーションですが、コロナ禍と言われるこの1年は、意図的に人との関わりを断っていたという人が多いはず。

「コロナウイルスに感染しない」という視点であれば、今自分に出来る最大の予防策と言えますが、特に年配の方にとって自宅にこもることで、意外なリスクが隠れています。

今日は離れた場所でもできる年配の両親の関わり方として、習慣づけておくとよいことや、生活の工夫を聞いてきました。

離れていても変化に気付くための『習慣化』が大切
認知症の方にとって「新しいことを覚える」というのはとても難しいことなんですね。
そうなんです。認知症初期段階の方も、そもそも認知症ではないという方も含めて、早いうちから離れた場所でのコミュニケーションを習慣化しておいてほしいなと思います。

認知症の予防と考えると、なにか特別なことをしないといけない と思ってしまいますが、大丈夫です!

電話やメール、LINEなどその方にあったものであればOKで、大切なことは『リズムを決めて繰り返し行うこと』だそうです。

 南先生からのアドバイス① 
時間を決めて毎日会話をする習慣をつけよう!

例えば、毎朝8時に電話で会話をする習慣をつけておくと、もし電話のかけ忘れが目立ってきた時に一つの目印になります。

南先生のおばあちゃんも認知症を患っていますが、最初に気が付いたのは、かかりつけの医師だったそうです。

『しおかぜメモリークリニック』院長の南先生が教えてくれた~認知症患者さんとそのご家族のお話~

2020年12月4日

身体に不調がなくても通う習慣をつけていたからこそ、「薬の飲み忘れ」や「予約時間に来ない」など、様々な 変化に気付くチャンス があったそうです。

家族のサポートは気持ちも体力も含めて長期戦になりますので、無理せず続けられるカタチを 毎日のリズムに組み込む ことが一番のポイントなんですね。

そして何より、毎日1分でも会話をするという時間を持てることは脳にとてもいい刺激になりそうです。

ステイホームの運動不足に注意!

出来るだけ外出を控える生活を始めて1年以上が経ちました。

感染リスクや、重症化リスクが高いといわれている年配の方は、特に危機感を感じておうちにこもっている人も多いのかもしれません。

そうした中で新たに問題視されているのが「運動不足」だと言います。

運動が不足すると筋力や体力が低下するだけでなく、食事量が減ってしまい結果的に栄養不足になる人も多いようです。

運動不足と併せて気を付けて欲しいのは年配の方の「感覚の鈍り」です。体調の変化も早めに感じ取ることが出来ないということをご家族が理解した上で接してほしいなと思います。

「感覚の鈍り」というと、気温の変化も感じづらくなるので夏場になると年配の方が家にいながら熱中症になったというニュースを目にしますね。

なかなか会えない家族はきっと「少しでもしんどいと思ったら教えてね!」とか「暑(寒)かったら空調つけるようにね!」と声掛けをしていることでしょう。

ただ「しんどい」も「暑い・寒い」も 認識するのは「脳」なので、本人だけに判断をゆだねても、実際の状況とは違う場合もあることを家族が理解しておくことが大切なのかもしれません。

南先生
栄養不足は認知症にも大きく影響します。健康の基本的なことではありますが、よく寝て!よく食べて!よく運動する!やっぱりここを怠ってはいけません。出来るだけこれまで通りのリズムで生活が送れるようにぜひ家族がリードしてあげて下さい。

 南先生からのアドバイス② 
運動することで、食べる・寝るのリズムを取り戻そう!
・人混みを避けて朝20分のウォーキングを行う
・自宅マンションやスーパーなどではエレベーターに頼らず「必ず1フロアは階段」を使うようにする
・家族とテレビ電話をつないで一緒に体操をする

コロナ対策はしながらも、どうすればこれまで通りの健康な生活を続けられるかを考える必要がありそうですね。

なかなか年配の方がひとりで考えるのは難しいので、周りの家族がアイデアを出してあげることも離れた場所で出来るサポートです。

また「電話をすること」が習慣になっていれば、声もヒントになりそうですよね。

認知症の家族を持つ人に知ってほしい生活の工夫

生活の工夫の取り入れ方として、様々な便利グッズも出ています。ただ、認知症の大きな特徴である 新しいことを覚えるのが難しい ということを忘れてはいけません。

昔の思い出や習慣は根強く残っていて、なんなら以前より色濃くそれが出てきたりするもの。

前より昔話が増えたなぁとか、新しい方法を教えても昔ながらのやり方が抜けないなぁとか、認知症患者さんあるあるですよね。

40代女性
離れて暮らす母が認知症です。自炊をしていますが、火の不始末が心配で IHに変えよう かと悩んでいます。
50代男性
特殊詐欺に引っかからないか心配で 防犯用機能の付いた電話 に変えました。

これ、どちらも間違っている可能性があるんです!

火事にならないようにIHに変えよう!詐欺被害にあう前に防犯機能付きの電話に変えよう!こういう今までと変えて生活に工夫をするとそもそもそれが出来なくなってしまうということがあるようです。

南先生
「ガス栓の開け閉めも不要で、火の調整がボタン1つになるのは簡単で分かりやすいと思った!」とおっしゃるご家族もおられますが、出来ない理由は「操作の難易度」ではなく「変化したこと」そのものにあるんですよ。

(これは認知症の段階にもよるので、IHに変えることで必ずしも料理が出来なくなるというわけではありません。)

 南先生からのアドバイス③ 
行動に注目し出来る工夫を考えよう!
・タイマー付きのガスコンロに変える
・火加減調整と同じように「ひねる」動作で、設定できるタイマーを使う

南先生
不思議に思うかもしれませんが、動作が同じであれば意外とスッと組み込めたりもするんですよね。お金をかけてIHに変えるより100円のひねるタイマーの方が効果的!なんてこともありますから、状態や行動を見ながら個別に対応を考える必要があります。
大切な家族だからこそ必死になるのに

近くに住んでいる家族の場合、仕事や子育ての合間にお世話をしている人もいると思います。

50代女性
病気だと分かっていても、忙しさやもどかしさのあまり、きつい口調になってしまいました。

・・・わかります。大切な家族だからこそ、必死になればなるほど心に余裕がなくなる時もあるでしょう。

ただ新しいことを覚えるのは苦手な認知症患者さんも「感情の記憶」は新しくインプットしやすいという不思議な特徴があります。

身近な家族がたまにきつい口調で接したりすると、「怒られた」「怖い」という記憶だけが残り、一番身近に接している人を敵対視してしまうということも結構よくある話のようです。

南先生
「さっき言ったこと忘れてるのに、先週怒られたことは覚えてるんか~い!」とツッコミできるくらい、病気の特徴を知っていくことを面白く思える心の余裕を持てるのが理想ですよね。

しおかぜメモリークリニックでは訪問診療をメインとしているので、自宅で困っていることを実際に見てもらいながら相談できます。

日常生活プラス介護で疲れている家族にとっては通院に付き添わなくていいのも大きいですね。

もし離れて暮らしている場合も、先生が家に来て診察をしてくれるなら、出先で迷子になるなんて心配も減りそうです。

また重度認知症デイケアを利用するのも方法かもしれません。

送迎もついていますし、普段話をしない人と会って一緒に何かのワークをしたり、食事をとったりすることはとてもよい刺激になります。

重度認知症デイケアを通して、認知症の患者さんやそのご家族の生活に寄り添う『しおかぜメモリークリニック』

2020年10月7日

「アルコール消毒」や「検温」などのコロナ対策はもちろん、送迎車も1台につき2~3名、ワークのフロアを2階層に分けるなど密を避ける工夫をしています。

今では4人に1人が認知症もしくはMCI(軽度認知障害)を抱えているといわれる時代で、決して珍しい病気ではありません。

最近会えていない家族が頭に浮かんだ方は一度ゆっくりコミュニケーションを取ってみてください。

  認知症医療専門/夜間診療対応 
 しおかぜメモリークリニック 
 公式サイト

【住所】神戸市中央区多聞通2-1-9
【電話番号】078-335-7570
【診療時間】月~土 9:00~22:00
【休診日】日曜日・祝日

 診察  ご家族も一緒にリラックスして受けてください。病状だけにとどまらず、患者さまの生きてこられた人生を理解するために生まれ故郷の話や学校、職業の話など、ご活躍されていた過去のお話を踏まえて、全人的なアプローチで問題の解決に取り組みます。もちろん、各種心理検査など科学的に有用な客観的評価を用いた、正しい診断を心がけております。患者様一人一人に適した医療をテーラーメイドで提供いたします。

 訪問診療  当院では訪問診療に力を入れています。訪問診療とは、体調が悪いときにだけ医師が診察に伺うものではなく、 お一人で通院が困難な患者様のご自宅や入居されている施設に、医師が定期的に診療にお伺いし、計画的に健康管理や治療を行うものです。 定期訪問に加え、緊急時には365日×24時間体制で対応させていただきます。また、急な体調悪化など、必要に応じて臨時往診や入院先の手配などを行います。当院は在宅療養支援診療所の指定を受けています。近隣の病院様とも連携がございますので、認知症はもちろんのこと、身体疾患に関してもなんなりとご相談ください。

 各種検査(血液検査・心電図・CT・MRI)  当院は近隣の神戸大山病院等と協力し各種画像検査実施した上で、確定診断を行っております。また、血液検査は自院での実施が可能ですので、身体疾患による認知機能低下などは比較的早急な結果の説明が可能です。また、訪問診療の患者様に関しては、血液検査など、簡易な検査であればご自宅で施行させていただきます。※画像検査は連携機関にて実施

 心理検査  認知症患者さまの心理的な側面を各種心理検査にて多角的にとらえていきます。患者さまの訴えでだけでなく、客観的な評価を基に表出がされにくい深層心理からアプローチを行います。(心理検査例:長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE、ADAS、WAIS-Ⅲなど。)
各種の心理臨床検査を医師や臨床心理士が丁寧に行います。

 処方  当院は院外処方になっております。近隣の薬局へ処方箋をお持ちください。訪問診療の方は、薬局様によってはご自宅への配送が可能な場合もございます。なんなりとご相談ください。


最後にアクセスについてです。駐車場はありませんので、基本的に電車を利用するか近くのコインパーキングを利用してください。

初めて行くときは注意してください。クリニック感がないので、見逃します!

JR神戸駅中央改札(プリコがある側)を出て北へあがると、正面に湊川神社が見えてきます。

大通りを北側に渡って「すき家」のある東側の角を入っていくと、すぐに右側にあります。

「しおかぜメモリークリニック」前からJR神戸駅の方を見た様子。

施設名しおかぜメモリークリニック
ジャンル医院、クリニック
住所神戸市中央区多聞通2-1-9
電話番号078-335-7570
診療時間月~土 9:00~22:00
休診日日曜日・祝日
リンク公式サイト
駐車場なし

紹介した情報は、記事執筆時点の情報です。また、神戸市内の開店・閉店情報、イベント、街の変化など、情報を求めています。ぜひ情報提供をお願いします。※自分のお店でもOKです。

 

この記事を書いた人

このみ

花や夕焼け空を眺める時間が好きです。

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